先日、北海道で開催された生命科学夏の学校というイベントに参加してきました!
生化学夏の学校@札幌に来ております
— 中村恒星/Food Tech (@kkkkosei777) August 31, 2019
テーマは「融合研究」
医学の僕にとって他分野の先生の話を聞くことはなかなかないのでとても貴重な機会でした。
クマムシ、植物の病理学、アストロバイオロジー、計算科学などなど。
自分が研究している内容も分子生物学と材料学の融合なので、他分野の勉強をすることの重要性は特に感じています。
特にAIの発達により創薬の領域は劇的に変化していることをシミュレーションを実際にみて感じました。
このタンパクの阻害剤はどうでデザインしたらいいかという問いに対してAIの利用の実際を見せてもらいました。
薬の構造を設計するには、脂溶性、溶解度、安定性、合成が容易かなどなど考慮しなければいけない項目がごまんとあります。
それをひとつひとつ検討していては、途方もない時間がかかるわけです。
事実、新規治療薬の開発には10年の時間はかかります。
しかし、AIを用いれば過去の膨大なデータからこの化学構造が最適だろうということを導きだしてくれる。
さらに、有機合成の合成ルートも昨今は計算化学により最適化することができる。
これにより合成にかかるトラインアンドエラーをしている時間も大幅に削減できるわけです。
もちろんこのAIの発達は、創薬にかかる時間を劇的に短くしてくれるでしょう。
しかし、それと同時に研究者が均質化してしまうような気がしました。
僕は人間は究極的にはマスに合わせると思っています。
ただ、一部のマスに合わせない強い意志をもった人間がイノベーションを起こすのだと感じます。
僕のAIの認識は究極のマスであり、膨大な過去の事実からもっとも予測される事実を提言するわけであり、それに異議を唱えるのは相当な勇気を要することです。
研究者は誰でも限られた時間で成果をあげることを求められているので、誰でも効率よく成果をあげたいと思っています。
そんな中、AIが効率の良いルートを示してくれたらどうでしょうか?
これは、かなり将来の話かもしれませんが、僕が生きているうちに実現する可能性は大いにあります。
科学者としての立ち位置を考えさせられる事実でした。
計算科学の台頭で生命科学研究者が均質化していく可能性を感じた。
— 中村恒星/Food Tech (@kkkkosei777) August 31, 2019
今まで以上に手を動かすことより独創性を思考することのほうが大事になってきそうだ。
また、冒頭にも書きましたが、JAXAの研究員の方のアストロバイオロジーの話はめちゃくちゃ面白かったです。
地球外生命体を見つけることの難しさと価値を非常にわかりやすく教えていただきました。
これはまた次回書こうと思います!
では!