東京に住み始めて3ヶ月ほど。
札幌から引っ越してきたときの荷物を、重い腰をあげて片付け始めていたら、1枚の封筒を見つけた。
僕が起業する前、プロダクトを作っていたときの思い出の封筒。
大事にずっととってある。
この封筒は、ネットカフェに一泊するお金すらなかったときに起きた出来事にまつわるもの。
当時僕は、23歳だったかな。
世界一やさしいチョコレートandewの原型となる、チョコレートの試作をもって全国あちこちを飛び回っていた。
夜、ビジネスホテルなんかに泊まれるわけもなく、ネットカフェですら出す余裕はなかった。
ビルのふもとで朝まで待ったりなんてこともしていた。
その日はたまたま友達のシェアハウスに泊めてもらえることになった。
そこで出会った方に、自分のやっているチョコレートのこと、表皮水疱症のこと、なぜ医者になりたいと思ったのか、これからやろうとしていること、いろんなことをお話しした。
なんでここに泊まりにきたのかという話になり、
ほとんどの自分のお金を事業に突っ込んでいたので、お金がないことも話した。
そしてその日は友達に貸してもらった部屋で寝た。
次の日の朝、札幌からの移動の疲れもあり、眠りこけていたら、この封筒と中には2,000円が入っていた。
昨日初めて会った、2名の方から、1,000円ずつとのことであった。
本人たちはもう出かけていていなかった。
当時の僕にとって、本当にありがたい2,000円だった。
その後も、東京でポップアップをした際などに、この方は、お店にも足を運んでくれた。
それから5年、ふと開けた段ボールの中にあったこの1枚の封筒。
いろんなことがあった5年間が思い出される。
「あなたのやろうとしていることは、本当に素晴らしいと思うので、少しばかり応援させてください。」
この言葉が、しんどいときを支えてくれた。
あと一歩先にいけば、また次のステージに行ける感覚がある今日この頃。
2,000円に苦しんでいた、あの時をこのタイミングで思い出させてくれた、この封筒。
この先も大切に持っておきたい。