薬学生から医学生、そして医師へ

薬学部から医学部に学士編入した医師によるブログ。初期研修医として日々研鑽中。実はチョコ屋さんでもあります。

日本病理学会カンファレンスに参加した

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こんにちは!こうせいです!

 

毎日暑いですが、皆さん元気ですか?

熱中症にはお気をつけてくださいね

 

 

さて、この灼熱の中、8月3,4日の2日間

愛知県犬山市において開催された「日本病理学会カンファレンス」に参加してきました!

 

15th.jspc.academy

 

 

この「日本病理学会カンファレンス」は、主に腫瘍の研究に関する発表の場です。

また、若手のトレーニングに主眼を置いています。

 

今回、僕は発表はせず、勉強として参加させてもらいました。

 

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抄録の表紙

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ホテル玄関



今回のカンファレンスの講演者の方の一覧です

 

8月3日(金)カンファレンス1日目
「変遷する腫瘍の源」
森井英一/大阪大学医学系研究科 病態病理学・病理診断科
「長寿・がん化耐性齧歯類ハダカデバネズミ」
三浦恭子/熊本大学 熊本大学生命科学研究部 老化・健康長寿学分野
「腫瘍幹細胞が潜むニッチと低酸素ストレス」
池田栄二/山口大学医学系研究科 病理形態学講座
「細胞競合によるがん制御の分子基盤」
井垣達吏/京都大学生命科学研究科システム機能学分野
「オルガノイドが切り拓くヒト疾患生物学」
佐藤俊朗/慶應義塾大学医学部 消化器内科

 

8月4日(土)カンファレンス2日目
「がん幹細胞と免疫システム 免疫系はがん幹細胞を識別できるか?」
鳥越俊彦/札幌医科大学医学部 病理学第一講座
「iPS細胞技術によるがん細胞の理解と制御」
山田泰広/東京大学医科学研究所先進病態モデル研究分野
「がんの不均一性とそれに伴うがんクローン進化」
谷内田真一/大阪大学医学系研究科 がんゲノム情報学
「幹細胞マーカーTRA-PODXL1と悪性腫瘍との関り 〜tumor development or tumor progression?〜」
近藤英作/新潟大学医歯学総合研究科分子細胞病理学分野
「バイオマテリアルとがん幹細胞」
田中伸哉/北海道大学大学院医学研究院腫瘍病理学教室
一般演題(ポスター発表)
共催セミナー
「ゲノム病理学情報を用いたディープラーニング」
石川俊平/東京医科歯科大学難治疾患研究所ゲノム病理学分野・東京大学医学系研究科 分子予防医学分野

 

 

このカンファレンスの特徴は、病理医のみではなく生命科学系の研究者やデータ処理の研究者なども参加していることなのかなと思います。

 

とにかく、世界のトップクラスの研究者の生の声が聞けたということは僕にとって、とても貴重な経験でした。

 

 

 

僕が感じた今回のカンファレンスでのおおきな2つのトピック

がんのheterogeneity(不均一性)とがん幹細胞

「がんはheterogeneityである」

 

今回のカンファレンスでこのワードは何度も出てきました。

がんと一言でいっても、全てのがん細胞が同じキャラクターを有しているわけではありません。

下の図に示したようにがん幹細胞と呼ばれる細胞とそれ以外のがん細胞にわけられます

 

がん幹細胞とは、簡単に言うとがん幹細胞の親玉のことです。

がん幹細胞ではない、がん細胞は化学療法や放射線療法で殺すことができます。

しかし、がん幹細胞は親玉で強いので、化学療法や放射線療法で殺すことができずに生体内に残ります。

そのため、治療により腫瘍が消えたと思っても、残っている親玉のせいでがんが再発や転移していしまいます。

 

そのため、数多くの研究者がこの親玉を選択的に殺す方法はないかと研究を進めています。

僕もこの分野の魅力と可能性を感じ、がん幹細胞の研究を始めました。

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kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201306.html  より

 

がんのもとをたどれば遺伝子による疾患である(Cancer is fundamentally genetic disease)

これは20世紀で最も大きな発見のひとつとされています。

 

なぜ正常細胞ががん細胞になるのか

 

大きなテーマです。

そしてその答えが遺伝子でした。

遺伝子の損傷やエピジェネティック*1な変化により、正常細胞はがん細胞へと変化します。

 

次世代シーケンサー*2の登場により、遺伝子配列の解析が容易になりました

 

それによりゲノム研究が急速に進歩しています。

 

このゲノムの面からがんを研究する流れも非常に活発です。

 

 

夜のお楽しみ

 

そして、学会のお楽しみと言えば飲み会ですね

これは、僕のようなまだまだ若手の人間にとっては最大のチャンス。

 

普段は絶対話すことができないような著名な先生とも、同じお酒を飲みながら横に座って話すことができます。

 

これは大チャンスです

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ぶれぶれですが、たくさんのお酒

今回の飲み会では、大阪大学や名古屋大学、広島大学の先生方や企業の方などたくさんの方とお話をしました。

 

研究のことや、がんのこと、これからの医療のこと、病理のこと、くだらない話などなど。。。

 

たくさん勉強させてもらいました。

そして、さすが普段から学生と接している先生方だけあって、僕のような人間とも同じ目線にたって話をしてくださいます。

 

僕の今後の進路を考える上での大きな指針となりました。

ありがとうございました!!!

 

 

今回の学会を通して、

今後の研究や進路の指針となるとともに大変たくさんのことを学ばせていただきました。

 

さあ、ここからどうするかが大事

 

頑張るぞ!!!

 

*1:DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステム

*2:次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer)は、ランダムに切断された数千万–数億のDNA断片の塩基配列を同時並行的に決定することができる技術